先日の撮影で、どうしても10mmというウルトラワイドな画角が必要になりレンタルした、フォクトレンダー HELIAR-HYPER WIDE 10mm F5.6 Aspherical。
建築撮影で必須とされる直線が直線として写る条件のレンズとしては、世界最高角(2020年現在)のフルサイズ換算10mmを誇る超広角レンズです。
普段の建築写真の撮影でも10mmが求められることはあまりなく、建築写真家としては10mmという画角はいったいどんなものかと興味がありましたので、簡単にレビューしてみましょう。
外観
SONY Eマウント専用設計のため、10mmという弩級の画角にも関わらず非常にコンパクトで且つ重量312gと軽量です。
実写
博多駅前でスナップ撮影してきました。
使用してみた感想としては、10mmという画角はとにかく異次元です。
2枚目の写真のパトカーは、実際にはほぼ目の前にあるのですが、10mmで撮影すると距離をとって撮影したように感じられます。
スナップで常用する画角ではないですね。
フォーカスに関してはマニュアルフォーカス専用レンズなので、SONY αシリーズの拡大マニュアルフォーカスを駆使すれば問題なしです。
フォーカスリングも非常に滑らかで気になるところはありませんでした。
昔からコシナのレンズに関して、フォーカスのヘリコイドなどで不満を感じた記憶がないので全然心配していませんでしたが。
画質
歪曲収差/ディストーション
一番気になる歪曲収差に関してはかなり良好です。
歪曲が抑えられているため、きちんとパースをコントロールして撮影すれば標準ズームの広角側で撮影したと言われると信じてしまうような雰囲気。
また焦点距離10mmなので、シャッタースピードを1/10秒くらいでも普通に手ブレすることなく撮影できます。
SONY αシリーズはボディ内手ぶれ補正もあるので、手持ちでスローシャッターを切ることもできそうです。
解像度も特に不満は感じません。
ウィークポイント
弱点としては、画面四隅の倍率色収差による色ズレが顕著です。
夜間のスナップでは特に気になりませんでしたが、建築撮影でエッジのある被写体を撮影したときにはかなり目につきました。
このレンズはミラーレスカメラ専用設計とすることで非常に軽量コンパクトに仕上がっておりそれが売りでもあるのですが、建築写真家としてはむしろレンズ本体がもっと巨大になってもいいので倍率色収差の補正をもうちょっと頑張ってほしかったです。
総評
フルサイズ対応の焦点距離10mmという超広角にもかかわらず軽量コンパクトでとりまわししやすいレンズです。
歪曲収差は非常に少ないですが、倍率色収差による色ズレが強く後処理に手を焼きます。
常用レンズではないけれど、SONY αシリーズユーザーは飛び道具として持っているといいかもしれませんね。