建築写真家にとって、三脚と雲台はカメラやレンズと同じくらい重要な道具です。
建築物を前にして、限られた時間の中で光を読み、写真の構図を決めていく中で、撮るという作業の部分で無駄な時間や手間は取りたくないものです。

道具は自分の意図した通りに過不足なく動いてくれる必要があるのです。

ギア雲台とは

建築写真では水平垂直に構図を合わせることが基本です。

その際、一般的な自由雲台や3WAY雲台ではミリ単位での調整は非常に困難かつ時間がかかります。

自由雲台はもっともスピーディに構図を変更することが可能な雲台ですが、建築写真に求められる精度の微調整は至難の技です。

3WAY雲台は精度の高い微調整が可能ではありますが、緩める動作と締め付ける動作を何度か繰り返す必要があるので時間がかかります。

3WAY雲台の使用イメージ

『構図を決める→水平軸のパン棒を緩めて任意の場所で締めて固定→垂直軸のパン棒を緩めて任意の場所で締めて固定→同じ作業を繰り返して微調整→撮影』
そこで役立つのがギア雲台です。

ギア雲台は、3軸もしくは2軸をノブを回して歯車の噛み合わせによってミリ単位で微調整することができます。

ギア雲台では、緩める動作と締め上げる動作が必要なく、固定された状態のまま前後左右に徐々にスウィングさせ構図を微調整できることが利点なのです。

また、ギア雲台には大雑把に構図を変更することが可能な「粗動」と、上で述べたような精細な調整が可能な「微動」と言う操作方法があります。

ギア雲台の使用イメージ

『構図を決める→大雑把に粗動で構図を整える→微動で微調整→撮影』
建築写真においては、粗動を使用する機会も少ないので、大概の場面で微動のみで調整が済んでしまいます。

ギア雲台 Leofoto G4

そんな便利なギア雲台ですが、そもそも発売しているメーカーが少なく、マンフロットかアルカスイス(めちゃくちゃ高価)くらいなものでした。

私もマンフロットのギア雲台410を長らく業務で使用してきましたが、ここ最近になって成長著しい中国の三脚メーカー「Leofoto」が昨年ギア雲台を発売しました。

それがこちらのギア雲台「 Leofoto G4」です。

外観

これはまさしくアルカスイスd4ギア雲台の模倣ですね。

アルカスイスd4ギア雲台にはクランプ部の横側に水準器が2個装備されていますが、 Leofoto G4にはクランプの上面部分のみしか水準器はありません。

上面はカメラをセットした際には見えなくなるので不便なんですよね。
無いよりはいいけど。

水準器に関しては非常に残念と言わざるを得ません。

ギア雲台としては軽量

本体は超々ジェラルミンと言う素材で、高級感があり手触りも良好です。

重量は690gでギア雲台としては非常に軽量です。(マンフロットギア雲台410は1.22kg)

滑らかなギア操作

操作感ですが、ギア操作はノブも大きく動きも非常に滑らかでストレスなく調整が可能です。

強いてあげるとするならば、重量のあるレンズをつけた時に上向きにスウィングさせる際に少し引っ掛かりを感じますが、動作自体には何も問題なく些細な感触の話になります。

マンフロットギア雲台410の場合はノブの操作が固すぎて、初めて購入した方が故障なんじゃないかと疑うレベルというほどなので、Leofoto G4のこの操作感は非常に嬉しいです。

クランプはアルカスイス互換

カメラクランプが初めからアルカスイス互換というところもポイントが高いです。

私の機材は全てアルカスイス互換化しているので、雲台の改造なしにそのまま今の機材を使用することができました。

不安点と嬉しい誤算

Leofoto G4は、マンフロットのギア雲台405や410と異なりパン軸のギア操作ができないので、業務で使用する上でその部分が不安でしたが結論から言って問題ありませんでした。

パン軸のギア操作はできませんが、ベースパンの回転は非常に粘りがあり、あと少しのミリ単位の微調整が問題なく可能でした。

また嬉しい誤算だったのは、クランプ部にもパン軸の回転部分があるので、ベースパンと2軸のギアで水平垂直を合わせた後は、クランプ部のパン操作で水平垂直を崩すことなく構図の微調整が可能になるのです。

マンフロットのギア雲台405や410にはクランプ部のパン操作はできなかったので、Leofoto G4を購入してから初めて気づいた利点でした。

ギア雲台 Leofoto G4

正面

ギア雲台 Leofoto G4

正面より、左にスウィング

ギア雲台 Leofoto G4

正面より、右にスウィング

ギア雲台 Leofoto G4

サイド側

ギア雲台 Leofoto G4

サイド側より、前後にスウィング

ギア雲台 Leofoto G4

サイド側より、前後にスウィング

雲台としての性能

ここまで操作感や仕様など側面的なことについて話してきましたが、雲台の目的はカメラをしっかり保持して固定することです。

こちらがダメであればどんなに操作性がよくともガラクタと一緒です。

実際に建築写真の現場で重量級の機材、

Canon TS-E17mm F4L

Canon TS-E24mm F4L

SIGMA 12-24mm F4 DG HSM | Art

などでしばらく使用してみましたが、固定力に関して業務上問題になる点は一切なかったです。

ギア雲台 Leofoto G4

ギア雲台 Leofoto G4 SIGMA 12-24mm F4 DG HSM | Art

クランプを回転させ、クランプノブをレンズ側に持ってくることで誤操作を防止

一つ注意があるとしたら、クランプでカメラプレートをロックする際の動作はクランプノブを締めることになるのですが、ギア部分の操作でも頻繁にノブを回すので、被写体に集中している際に誤ってクランプノブを回してカメラを落下させてしまわないかということですね。

対策として、誤操作防止のために写真のようにクランプノブをレンズの下に来るように回転させて使用することを推奨します。

クランプノブがレバーになれば最高ですが、まぁそこまでは求めないとしましょう。

気に入ってます

価格は現在6万円代後半(2019年11月現在)で販売されているようです。

似たような形状であるアルカスイスd4ギア雲台(パン部分がギアでないもの)は、Amazonで16万円代(2019年11月現在)で販売されてます。

ただアルカスイスd4ギア雲台のこの値段が、果たして適正な価格なのかということには疑問を感じていましたので、 選択肢が増えることはユーザーとしては嬉しいことですね。

 

プロにとっての撮影機材とは、それがあれば良い写真を撮れるというものではなく、良い写真を撮るためにストレスなく思い通りに動いてくれるものだと思います。

ギア雲台 Leofoto G4は私にとって道具として信頼できるものになりました。

あとは現場で数年使用してみての耐久性次第ですね。

また報告させていただきます。

追記(2020年6月)

Twitterで、ギア雲台 Leofoto G4のギア動作が購入後半年でヘタってきたという意見を見ました。

その方は望遠レンズなどヘビーな機材をLブラケットを使用せずに、縦位置で使用していたようです。

Lブラケットを使用せずにカメラを縦位置にセットする場合、首部分を90度スウィングする形になります。

Lブラケットを基本として運用した場合と、カメラと雲台を直付けで運用した場合での、縦位置のために首を降った時のギア部分にかかる負荷はかなり異なってくることは想像できるので、この方の場合はその辺が原因なんでしょうかね。そうは言ってもそんなにすぐヘタられても困るけど。

その方もおそらくプロカメラマンのようでしたので、一般の人よりはハードな使い方をされていたのかなという気もします。

幸い自分の Leofoto G4は購入後一年近く経ちますが、Lブラケットオンリーでの運用のせいもあるのか、特に問題もなく精密に動作してくれています。

そう言えば、 Leofoto G4が一般発売されてすぐ、受注生産になってしばらく販売が滞っていた時がありました。

噂では量産する上での制度面での問題が発生したなんて聞いたことがありますが、もしかしたら Leofoto G4の初期ロットには不具合があるんでしょうかね。

とにかく 重量級の機材でLeofoto G4をLブラケット無しで多用する方は、少し注意してみた方がいいかもしれません。