建築写真家の本命カメラ「FUJIFILM GFX100S」発表

先日のソニー「α1」に引き続いて、富士フイルムより中判ミラーレスカメラ「FUJIFILM GFX100S」が発表されましたね。

FUJIFILM GFX100S公式ページ:https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/gfx100s/

前回の記事 ソニーがすごいカメラ「α1」を発表したけれど本命は でも述べたように、建築写真を撮影する人間からすると「FUJIFILM GFX100S」こそ本命の業務用カメラです。

では「FUJIFILM GFX100S」のどの辺が、本命カメラに値するのかをピックアップしてみましょう。

建築写真家が考えるFUJIFILM GFX100Sのすごい所

  1. 画素数1億2百万画素
  2. ボディ単体の重量900g
  3. 最大6.0段分のボディ内手ブレ補正機構
  4. バッテリーを底面から出し入れできるようになった
  5. 3方向チルトモニター
  6. 中判センサー(ラージフォーマット)

①画素数1億200万画素

建築写真撮影のように静物を鮮明に写し出すことが求められる撮影ジャンルにおいては、カメラの画素数は多ければ多いほうが良いので、1億画素という超高画素は非常に魅力的なスペックです。

よく「2,000万画素もあれば充分、そんなに高画素でどうすんの?」という意見を耳にしますが、画質という物差しに限って言えば画素数は多いに越したことはないんですよ。

高画素になればなるほどトリミング耐性が向上します。
「FUJIFILM GFX100S」の1億200万画素を35mm判フォーマット(いわゆるフルサイズ)にトリミングした場合、約6,000万画素になります。
1.5倍にトリミングして尚、SONYα7RⅣ(6100万画素)と同等の画素数を保てるというのは驚異的です。
例えば横構図で撮影した写真を、縦構図にトリミングしたりすることも可能になるわけで、商用写真の場合などでは後から何とでもなるというのはかなり安心感があります。

中判センサー(43.8x32.9mm)の中央部、36.0mm×24.0mmを使用する「35mmフォーマットモード」を使えば、「FUJIFILM GF23mmF4 R LM WR」を35mm判換算焦点距離23mmとして使用でき、さらにそこからAPS-C判にトリミングしても約2,500万画素残るので充分実用に耐えるわけです。
つまり、35mm判換算焦点距離「18mm」「23mm」「35mm」の画角を「FUJIFILM GF23mmF4 R LM WR」一本でカバーすることもできるわけです。
なんとも驚異的!

もちろんRAW現像書き出し時に低画素で書き出すこともできますので、基本的に画素数は大は小を兼ねるわけです。

画素数が多いことによるデメリットは、あくまで二次的なものです。
デメリットとしてあげられることは、高画素に伴うデータサイズの肥大化でRAW現像時のPCスペックが追いつかない場合や、メモリーカードや保存メディアの容量を圧迫するということですが、写真撮影を業務にしている人間でそこをクリアできない人は問題外ですね。

②ボディ単体の重量900g

フルサイズセンサーよりも1.7倍大型な中判センサー(ラージフォーマットセンサー)を搭載しているにも関わらず、ボディ単体で900gとそれなりに軽量に収まってます。

FUJIFILM GFXシリーズで先に発売された1億画素機「FUJIFILM GFX100」は、バッテリーグリップ一体型で重量1.3キロでしたが、「FUJIFILM GFX100S」は大幅に軽量コンパクト化して登場してくれました。

建築撮影時には、三脚と荷物を持った状態で頻繁に階段を昇り降りするので、機材の総重量はできるだけ軽量にしたいのですが、カメラ本体で重量900gというのは過去に使用していた一眼レフカメラとほぼ同じ数字なので非常に嬉しいポイントです。

③最大6.0段分のボディ内手ブレ補正機構

中判カメラで6段分の手ブレ補正はシンプルにすごいですが、建築写真撮影では基本的に三脚使用なのでここはあまり関係ありません。

スナップ撮影ではとても助かると思う。

④バッテリーを底面から出し入れできるようになった

FUJIFILM GFXシリーズの初号機「FUJIFILM GFX50S」は、バッテリーをボディ側面から出し入れするちょっと特殊な構造だったので、Lブラケット装着時にバッテリーを交換できないというデメリットがありました。

で、今回の「FUJIFILM GFX100S」は底面にバッテリー室があるので、おそらくLブラケットも問題なく活用できると思います。

Lブラケットがない運用は考えられないので、これはありがたいポイントです。

⑤3方向チルトモニター

いやほんとこれが建築写真撮影においてはベストなんですよ。

三脚使用時に横位置はもちろん、縦位置でもある程度チルトして画面を見ることができるというのはめちゃくちゃ助かります。

え?バリアングルですか?
あれは構造上、光軸がズレるなど静止画撮影においてはデメリットが大き過ぎるので、ほんと勘弁してください。

⑥中判センサー(ラージフォーマット)

最後に、そもそもセンサーサイズが大きいというシンプルにして最大の利点ですね。

私にとっては1億画素というのはある意味そこまで重要ではなく(もちろんトリミング耐性は素晴らしいけど)、フルサイズセンサー比で1.7倍大きなセンサーがもたらす恩恵が重要なのです。

フルサイズセンサー搭載機では、超広角レンズ使用時のパース感に描写的に無理をしているような感じを受けるのですが、中判センサー使用時にはその辺にかなり余裕を感じられます。

また、この程度の大きさの中判センサーであれば小絞りぼけもなくパンフォーカスできると判断しています。

デジタルカメラにおけるセンサーサイズの大きさは正義なのです。

現場で実際の運用を想定した場合

キャノンの各種TS-Eレンズ(ティルト・シフトレンズ)をマウントアダプターで使用した場合、ケラれなく使用できる上に幾分シフトも可能らしいのでそういった運用を考えてます。

その辺の情報は、海外のGFXユーザーが色々チャレンジして詳細をアップしてくれているので助かりますね。

純正GFレンズに広角ズームレンズのラインアップがないのは謎ですが、広角シフトレンズは本当に発売して欲しいところ。

GFレンズでシフトレンズが発売されれば、建築写真業界をFUJIFILM GFXシリーズが一気に独占出来ると思うんですけど、富士フイルムさん広角シフトレンズ出してくれないんですかねー。

最後に

いやー、「FUJIFILM GFX100S」ベタ褒めしてしまいましたね。

みなさんはどうなんでしょうかね。

私はちょっと真剣に購入を検討してみたいと思います。